当院では花粉症(アレルギー性鼻炎)の診療を行っています。鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどにお困りの方はご相談ください。
毎年花粉症にお困りの方は花粉飛散予測日(→予測日情報はこちら)から、又は症状が出始める少し前からの早めにお薬の服用をおすすめいたします。早期の治療開始により、シーズン通して症状が軽く済みます。
特に喘息の方は悪化に注意が必要ですので、早めにご相談ください。
たかが花粉症だと放っておくと重症化・慢性化することがありますのでご注意ください。
アレルギー性鼻炎の診断
アレルギー性鼻炎は、①症状の確認、②鼻水の検査、③血液検査によるアレルギー原因の同定、により診断を行います。典型的な症状であれば、①のみ(特に検査不要)にてお薬を処方できます。
①症状の確認
まず花粉症なのか?風邪などの感染症なのか?を考えます。ご自身でもセルフチェック(リンク先:協和キリンHP)が可能です。
花粉症(アレルギー性鼻炎) | 風邪 | |
鼻の症状 |
・透明のサラッとした鼻水 ・鼻詰まり ・くしゃみ(連発) |
・粘りっぽい黄色い鼻水 ・鼻詰まり ・くしゃみ |
1日の症状の変化 |
朝方に激しい (=モーニングアタック) |
ずっとつらい |
鼻以外の症状 | 目の痒み | 発熱、のどの痛み、咳・痰・悪寒 |
持続期間 | 2週間以上 | 10日間 |
②鼻水の検査
鼻水をチェックするだけで、アレルギーによるものかどうかがわかる鼻汁好酸球検査が可能です。鼻炎なのかどうか知りたい方、風邪かな?鼻炎かな?と悩む方、鼻炎の程度を知りたい方に有用な検査です。
□鼻汁好酸球検査について
鼻水を少量綿棒で採取します。ティシュにだしてもらう鼻水の採取でも検査できます。
鼻水の中の好酸球(=アレルギーの時に染み出てくる細胞)の量を調べます。
アレルギー性鼻炎では鼻汁好酸球が上昇します。血管運動性鼻炎や感染症(上気道炎や副鼻腔炎)などでは鼻汁好酸球は上昇せず、好中球が上昇します。
アレルギー性鼻炎 | 急性鼻炎(かぜ) | 慢性副鼻腔炎 | 慢性鼻炎 | |
鼻汁細胞 | 好酸球 | 好中球 | 好中球 | 好中球 |
鼻粘膜 | 浮腫 | 発赤・浮腫 | 肥厚・鼻茸 | 肥厚・腫大 |
アレルギー検査 | 陽性 | 陰性 | 陰性 | 陰性 |
(鼻汁好酸球検査における臨床的意義の説明はこちら。)
3割負担の方でおよそ400円です。
数日で結果がわかります。
LINEでの結果報告が可能です。(本検査は非常に簡便な検査ですのでLINEでの結果報告を行うこととしております。ただ検査結果を踏まえてご相談がある場合は再受診をお願いいたします。)
③血液検査
血液検査にて花粉症の原因となる物質(アレルゲン)が何かについて同定できます。特異的IgE検査とよび、スギ・ヒノキ・カモガヤ・ハンノキ・ハウスダスト・ダニなどについて個別にアレルギーの程度を調べます。
当院では主にview39検査(測定は42項目)を実施しています。一度に多くのアレルギーを調べることができるため非常に有用です。view39検査は3割負担の方でおよそ5000円です。
アレルギー性鼻炎の治療
抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、漢方薬、ステロイド点鼻薬、遊離抑制点鼻薬など様々な治療の提案を行っています。毎年、症状が重い方は、早めに花粉症対策を行うことが重要です。
①抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬がアレルギー性鼻炎の基本となります。鼻水を止める作用と痒みを抑える効果があります。当院では眠気の少ない第2世代の抗ヒスタミン薬(アレグラ:フェキソフェナジン、アレロック:オロパタジン、ビラノア:ビラスチン、その他各種あり)を取り扱います。様々な薬がありそれぞれに特徴がありますので、患者さんの症状や希望を聞いて適切な薬剤選択を行います。
商品名 | 一般名 |
回/日 |
運転可 | 特徴 |
アレグラ | フェキソフェナジン | 2 | ⚪︎ | 眠気が少なく、マイルドな効果 |
アレジオン | エピナスタチン | 1 | △ | 喘息に適応 |
アレロック | オロパタジン | 2 | × | 眠気が強いが、効果は強い |
クラリチン | ロラタジン | 1 | ⚪︎ | 眠気は少なく、マイルドな効果で1日1回 |
ジルテック | セチリジン | 1 | × | 眠気は強いが、効果強め。1日1回 |
ザイザル | レボセチリジン | 1 | × | ジルテックの改良品。眠気はジルテックより少なく、効果強い。(腎機能低下時に用量調整が必要。) |
タリオン | ベポタスチン | 2 | △ | 皮膚科で頻用。即効性あり、効果強め。 |
デザレックス | デスロラタジン | 1 | ⚪︎ | クラリチンの改良品。眠気少なく効果マイルドから強め。 |
ビラノア | ビラスチン | 1 | ◎ | 最も眠気が少ない。即効性あり効果も強い。(空腹時使用が必要。) |
ルパフィン | ルパタジン | 1 (2可) | × | 最も効果が強く、抗PAF効果があり、鼻閉にも有効。眠気は強い。 |
アレサガテープ | エメダスチン | 1 | × | 貼付剤 |
眠気や効果については個人差がありますのであくまで参考にしてください。
②抗ロイコトリエン薬
鼻詰まりがひどい場合には抗ロイコトリエン薬(オノン:プランルカスト、シングレア・キプレス:モンテルカスト)を用います。鼻詰まりの改善と喘息発作や咳を抑える効果もあります。
③漢方薬
鼻水に対して、小青竜湯が有効です。自然の生薬由来であり、眠気等の副作用がないため安心して使用できます。
④抗ヒスタミンとステロイドの合剤
重症例には、抗ヒスタミン薬とステロイドの合剤を用いることもあります。セレスタミン(ベタメタゾン・d-クロルフェニラミンマレイン酸塩配合剤)を使用します。ステロイドは長期投与をおこなうと副作用を生じうるため短期的な使用にとどめるようにします。
⑤各種点鼻薬
鼻粘膜の炎症を抑えるため、薬を鼻腔に局所的に噴霧して鼻炎の症状を解消します。内服と併用することが多いです。
当院では主にステロイド点鼻薬を処方しています。ステロイドについて点鼻薬で使用する場合は全身性の副作用はほとんどありませんので安心して使用できます。
・ケミカルメディエーター遊離抑制点鼻(インタール点鼻薬)
・抗ヒスタミン薬点鼻薬(リボスチン点鼻薬、ザジテン点鼻薬)
・ステロイド点鼻薬(アラミスト点鼻薬、ナゾネックス点鼻薬、フルナーゼ点鼻薬、エリザス点鼻薬)
*血管収縮剤の点鼻薬に注意
血管収縮剤の点鼻は即効性があり鼻閉改善に有効ですが、耐性の問題があります。つまりだんだん効かなくなってしまいます。よって短期的使用にとどめるようにします。市販のお薬にも含まれていますので、皆さんも薬局で購入しようかなと思ったときに成分を見て、「塩酸ナファゾリン」とか「塩酸トラマゾリン」といった表示があったら「長期使用を避ける」よう注意しましょう。
・血管収縮剤点鼻薬(トラマゾリン点鼻薬、コールタイジン点鼻薬、ナシビン点鼻薬)
舌下免疫療法のご案内
スギ・ダニのアレルギーの方は体質改善治療として舌下免疫療法という選択があります。特異的IgE検査にて強陽性であった場合に検討します。上記の治療を組み合わせても抑えられない方、経口ステロイド薬を必要とする方にお勧めです。(詳しくはHP:呼吸器内科の項を参照してください。)