呼気NO検査について
当院では呼気NO検査が可能です。お問い合わせが多いため、本ブログで情報を整理いたしましたのでご覧ください。
呼気NO検査とは?
呼気NOとは好酸球性の気道炎症マーカーで、喘息の方は高値を示すことが知られています。非常に簡便に検査することができ、喘息の診断のみならず治療効果判定にも有用です。
呼気NO値をどう考える?
18歳以上の日本人健常者を対象に行われた試験では、日本人の成人健常者における呼気NO濃度の正常値は約15ppb、正常値の上限値は約37ppbと算出されました。またステロイド未治療の喘息患者と健常者を対象にNOを測定した試験結果より、吸入ステロイドを未使用の新患患者で、発作性の喘鳴など喘息を疑わせる症状に加え、呼気NOが22ppb以上ならば、喘息の可能性が高く、37ppb以上であれば、ほぼ確実に喘息と診断できることがわかりました。
呼気NO検査の注意点
呼気NO値は以下の要因で変動します。呼気NOを測定する場合、可能であれば測定前2時間は飲食を控えるようにしてください。
◾️呼気NO値を上昇させるもの
- 風邪などのウイルス感染
- 花粉症(アレルギー性鼻炎)
- アトピー
- ほうれん草やレタスなどの食事
◾️呼気NO値を低下させるもの
- 喫煙
- 食事・飲水
- カフェイン
- アルコール
- 過換気(発作後や呼吸機能検査後も同様)
- 喘息治療に用いられる薬剤の使用(ステロイド、ロイコトリエン拮抗剤など)
- 子供
風邪をひいている場合やアレルギー性鼻炎のある場合は参考値になります。
お子さんはやや低値になります。(小学生:中央値10ppb、中学〜高校生:中央値14ppb、やや女児<男児の傾向)
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/06/pdf/a17112.pdf
また、喘息患者の一部は好中球優位の気道炎症を呈することもあるため、呼気NOが上昇しないケースがあり、注意が必要です。
呼気NO検査の有用性
まず第一に検査が非常に簡便で、患者さんのご負担なく検査を実施することができます。(保険適応は月に1回)
次に喘息の診断に有用です。喘息治療をしたのに改善がなく咳が続いている、という方でも呼気NO検査を行うと高値であり、やはり喘息であったと診断がつくこともあります。長引く咳の診断がつかずにお困りの方はぜひご相談ください。
さらに喘息の維持管理にも有用です。喘息は発作がない時でも気道の炎症が続いていると言われています。炎症が持続すると気管支のリモデリングが進んでしまい、難治性喘息となってしまうため、症状発現の初期段階で抗炎症治療を強化することが重要です。これまでの治療に呼気NO濃度測定検査を加えることによって、気道の炎症状態を知ることができ、より効率的な治療が可能になります。喘息予防・管理ガイドラインにおいても呼気NOを喘息コントロールの指標として喘息管理を行うと増悪回数を減少させると報告されています。また呼気NOガイドでフォローした場合、従来のやり方でフォローするよりも吸入ステロイドの量が減量できたというデータもあります。そのため当院では発作のない喘息の方にも定期的に(1~2ヶ月に1回)呼気NO検査を行うことをお勧めしています。喘息のコントロールが不十分と感じておられる方はぜひご相談ください。喘息を未然に防ぎ、一緒に喘息コントロールに取り組みましょう。